処分される予定のムクノキとアキニレは、あけぼの幼稚園で蘇りました
「あけぼの幼稚園の園庭」を進化(しんか):森化(しんか)させる計画に参加いたしました。
滝組の完成が夏だったので、秋から冬にかけての植栽適期を選んでの工事でした。大木の落葉樹は葉が落ちてからの時期を選びますが、この年の秋は暖冬で年末まで落葉せずに移植時期をうかがっていました。
あけぼの幼稚園が休みになった期間を目標に植栽計画を立てました。
今回の計画ではパッシブソーラーの思想を取り入れて落葉樹を多用します。夏場は日影を作り、冬には太陽が燦燦と降り注ぐ園庭造りです。
作業工程
今回の計画は庭園樹というよりも、あけぼの幼稚園のグランド以外の敷地を森化することが目的なので既存樹とのバランスを考えて樹木探しから始まりました。
シンボルツリーや庭園樹ではないので「掘り出し物」を探すことに注力しました。
伊丹や宝塚、三田へと車を走らせて約1か月間を費やしました。
なんと中島農園本社圃場に在庫処分をしたいという「ムクノキ」がありました!!「ムクノキ」は成長が早く大木になります。秋には実が熟してシワシワになるとほんのりと甘く食べることができます。ラッキーなことに最初の樹木をゲットできました。
次は園児たちが冒険心をそそる丈夫な樹に「アキニレ」を選びました。
「アキニレ」は材が硬くて丈夫で木登り用に向いています。
あけぼの幼稚園のために存在していたような木登り用「アキニレ」が偶然見つかりました!
また「アキニレ」の実は「ムクノキ」と同じく食べられるようです。
私はムクの実は何度も食べましたが、「アキニレ」の実を食べた経験がないので、この秋には食してみたいと思っています。
メインの樹が決まり植栽工事に入ります。 地中に障害物の有無を確かめながら慎重に重機で植穴を掘削します。
あけぼの幼稚園の近辺は粘土やシルト層なので、あまり深く掘ると根腐れをするので浅く掘ります。
そこへ土壌改良剤のパーライトやバーク堆肥を混ぜ合わせます。
(パーライトとは)
黒曜石や真珠岩を高温で加熱して作る多孔質の土壌改良材
(バーク堆肥)
樹皮などを発酵させた有機肥料の土壌改良材
粘性土やシルト質の場合は排水性と保水性を兼ね備えたパーライトと根の活性化のためにバーク堆肥を混ぜ合わせます。
こうして植栽の位置決めをして植穴を掘りムクノキの搬入準備です。
ムクノキの重量は3トンもありますが、建物やジャカランダの樹の上を越えての搬入です。
やっと定位置に搬入ができました!
立ちの修正です。3トンもあるので大変です!
水鉢用の真砂土もレッカーで搬入しました。
これから植え込みのためにバーク堆肥とパーライトを混ぜ合わせたもので埋め戻していきます。
次は、木登り用アキニレです。
池の東側で、夏には日影の下で、園児たちが水遊びできて、冬には太陽が燦燦と降り注ぎます。
そしてこの「アキニレ」は硬くて丈夫な樹なので木登りができ、樹の上からサッカーグランドや池を眺めることができます。
これでメインの樹が植えられましたので一安心です。
次は「マテバシイ」です。この樹もかなり大きいです!
思っていたよりもお買い得な樹でした!
こちらの土もシルト質なのでパーライトやバーク堆肥をふんだんに使いました。
次はサザンカです。
三田の圃場で見ていたよりも大きく感じますが、ここではどんなに大きくても違和感はありません。枝抜きをして植えこみました。
ヤマモモも植えました。
耐風対策の支柱です。このように植桝の中は問題がありませんが・・
こちらのように園児たちが走り回る場所では、一般的な支柱では危険なので樹木の上部で丸太のトラスを組みました。
トラス構造の支柱は有利な構造なので採用いたしました。
風で揺られたり、園児たちが遊んでいる間にしゅろ縄が緩んだ場合を想定して120ミリの木ビスで固定をしました。
その上からは通常のしゅろ縄でカバーをしております。
こちらは支柱の長さを無駄せず、補強の意味で小さなトラスを組みました。
サッカーグランドのサザンカも支柱に工夫を凝らしております。 コンクリート柱に控えを取りました。これでずいぶん頑丈です。
反対側のサザンカにもコンクリート柱に固定しております。
エコな施工を目指して残土は場内処分で、園児たちがランニングする一部を少し盛り土にしてマウンドを造りました。
また、落ち葉や小枝は腐葉土にして再利用します。
サッカーグランドの東側から見た風景です。
雨のために年末ぎりぎりになりましたが、無事あけぼの幼稚園の園庭進化計画:森化計画は終わりました。
それから3か月が経ち、春になると植えた巨木は芽を覚まして新芽をどんどん伸ばしています。3トンもあったムクノキは春を待ちきれず芽吹いています
アメリカフウも穂先にグリーンの新芽をつけています
6か月を過ぎるとムクノキは旺盛な芽吹きです!
森の中の池で遊ぶ園児たちは楽しそうです
8か月を過ぎるとセミの大合唱が始まります。園児たちはアキニレに登りセミ取りに必死です!!
捨てられていたかもしれない「ムクノキ」「アキニレ」はあけぼの幼稚園に移植されてからは第二の人生??を謳歌しているようです